登場人物
#1 リフォームすべきか、新築すべきか、それが問題だ。
各室の構成については、それぞれの役割はもちろんですが、お互いがつながり、補完関係が働いています。
ですので、リフォームの場合、部分改修で上手くいくケースが非常に少なく、調整力が問われることになります。
リフォームしたにも関わらず、数年で使いにくくなったり、結局再度のリフォームをされるケースが少なくありません。
私達は、工事する事が目的ではありません。
リフォームする事でくらしが良くなる提案を心がけてますので、リフォームする事が最適な選択であるか判断します。
今回は、しつらえに良い品を使われているのですが、個々の室が分断されている、残念な比較的よくあるケースです。
お客さんのお求めの新しいくらしを実現する為に、フルリフォームで計画を進めることになりました。
#2 建物によいも悪いもない、使う人によって良くも悪くもなる
計画を進めるには、慎重に現況を確認する必要があります。
平面形状はもちろんですが、断面・設備機器の状況・外部空間との取合い等を確認したうえで、最適な改修計画を丁寧に模索し提案します。
ある程度の想定はして計画を進めますが、それでも意外な対応や、想定以上の劣化が判明する事も少なくありません。
リフォーム工事には、特に資格者が設計する必要のないケースも多くありますが、むしろ改修工事にこそ、綿密な計画や対応力が問われます。
今回は、EVピットが既存図面よりも大きかった事などの事象もあり、計画修正の対応が必要となりました。
#3簡潔こそ、設計の神髄
現況を把握する事に並行して、新しい暮らしぶりについて、いろいろなお話を聞かせていただきます。
家族構成や欲しいお部屋は、もちろんですが、普段のお家にいられる時間帯、好きなもの、趣味、休日の過ごし方や現在のくらしの不満、持ち物、将来の夢など、一見家づくりには直接関係のないと思われるものも含めて、いろいろとお話を聞かせてもらい、計画をブラッシュアップします。
不思議なもので、良い計画であるほど、形状はシンプルなものになる傾向があります。
もちろん、住まう人が主役である事を常に忘れず、自己満足に陥らないように心掛けています。
外収納や広めの玄関収納などは、お持ちのものや、現在のくらしの不満から、提案させていただきました。
又、白に統一されたLDKやスタイリッシュな洗面室は、ホテルのようなお家と希望されたイメージからコンセプトとなりました。
#4 答えは今来なくても、いずれ来る
設計業務が完了した後は、工事業者の選定、見積依頼に進む事になります。
大幅な設計変更が生じないように、総予算を考慮しつつ、既存利用の範囲やコストパフォーマンスに見合う工法の検討も行う事になります。
今回、外部開口部については、計画に影響しない範囲で、既存開口の利用を心がけ、コストについて配慮しております。
#5 計画も大事だが、なかには守るより破ったほうがいいものもある
工事監理は、設計意図を施工者に、いかに上手に伝えるかの答え合わせの側面があります。
【住まう人にとって、何が一番であるか】
現場で、最適な方法を、ああでもないこうでもないと打合せする事は、(本来は答えを決めておくべきかもしれませんが)私の好きな時間であり、新しい発見が生まれる瞬間です。
造作家具は、使う人の動きや、什器・コンセント・照明位置などについて、最終的には現場で確認して決めます。
#6 その後の生活
お家は、住まわれる方の為のものでありますので、引渡し直後ではなく、長く愛着をもって暮らしていく事が一番です。
しばらく住まわれた後に、招待いただき、たくさんの良かった事、少しの悪かった事について、ザックバランにお話しできる関係になれれば幸いです。